研究課題
本研究の目的は、ディグナーガ(ca. 480~530)の主著『集量論』第3章「他者のための推理(論証)」とその自注に対するジネーンドラブッディの複注の近年チベットの僧院から発見された梵語写本(約70フォリオ)を解読し、批判的校訂本を作成し、それにもとづく『集量論』と『自注』の梵語原典の復元、さらにこれら3テキストの英訳と和訳とを作成することにより、インド論理学史上もっとも重要な仏教論理学者である、ディグナーガの論理学を新資料にもとづいて再構築することにあった。平成23年度は、同書同章の最終部分にあるサーンキヤ学派の「証因論」に対するディグナーガの批判、および世親の『ヴァーダヴィディ』・ヴァイシェーシカ学派・ニヤーヤ学派の「疑似証因論」に対するディグナーガの批判を扱う部分について上記のような研究を行い、『集量論』第3章の研究を完了することができた。この結果、ディグナーガ論理学の主要部分を再建することができたので、今後の仏教論理学研究の進展のための大きな足がかりを作ったことになる。『複注』の校訂テキストの出版はオーストリア科学アカデミーとの協力により、中国蔵学研究中心から発行することになる。『集量論』偈の再構築したテキストは既に前半部分を論文として公表しており、後半部分も同様の形で公表する。『自注』の再建テキストはできるだけ早い時期にインターネット上で公開する予定である。これら3テキストの英訳と和訳については、今のところ公開を予定していない。
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