研究概要 |
白衣派ジャイナ教学僧ヤショーヴィジャヤ(ca. 1624-1687)による綱要書『タルカ・バーシャー』の翻訳をすすめ,ジャイナ教認識論・論理学特有の術語や基礎となる理論について精査した.ヤショーヴィジャヤの術語解釈は,ジャイナ教の思想的発展を踏まえており,彼の知的源泉は白衣派聖典に対する諸注釈と論理期の独立作品に二分される.この先行文献の作者たちについては,前者がジナバドラ,ハリバドラ,マラダーリ・へーマチャンドラなど,後者がアカランカ,ヴィドゥヤーナンディン,デーヴァ・スーリなどであることが明らかとなった.『タルカ・バーシャー』翻訳については,全体分量の約70%が完了しており,訳語の擦り合わせ作業ののち,訳注,索引,文献目録を付した上での出版を予定している.
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