研究課題/領域番号 |
21520062
|
研究機関 | 財団法人東方研究会 |
研究代表者 |
堀内 伸二 財団法人東方研究会, 研究員 (20271504)
|
キーワード | 法華経 / 教判 / 白隠 / 禅画 / 臨済禅 / 天台 / 日蓮教学 |
研究概要 |
白隠の教判思想を明らかにすることを目的としている本研究において、白隠が、大乗仏典の中でも最も重きをおいた法華経をどのように理解していたかを明らかにすることは大変重要である。白隠が残した書画の中にも、観音経や、日蓮正宗の影響をはっきり見て取れる。そこで、その基礎研究として、松蔭寺に所蔵されている白隠直筆の註法華経のデータベース化を行っているが、本年は、比喩品を中心にデータベース化を行った。特に、本年からは、法華経の教学に精通している坂田高氏にも協力をお願いし、日蓮正宗教学、日蓮教学についての教示をいただくとともに、データベース化の補助もお願いし、比喩品相当部分の入力を中心にデータ化をおこなった。 また白隠禅師の書画についても昨年と同様、展覧会などに出向き研究を進めた。比較的良いものが保存されている早稲田大学所蔵の書画、また同大学で開催された禅宗各派の偉大な禅僧が著した書画の調査を二回にわたって行った。未見の白隠の書や白隠の弟子が描いたものも一部含まれていることが判明した。 また松蔭寺をたずね、同寺管長や白隠研究の専門家と意見交換をおこなった。松蔭寺には、法華経の注釈の他に、貴重な大乗経典の注釈も未見のまま所蔵されており、白隠の教判を明らかにするためにたいへん貴重な資料であり、注目される。白隠が在住し涅槃を迎えた寺院の管長ならではの意義ある貴重な情報を提供いただいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細かな字で、行間いっぱいに画かれている注記は、一つには判読がしにくいところがあること、また、禅師特有の書体で書かれているところがあるため、判読に時間がかかる。引用の場合には、むしろ引用箇所を特定する作業を先行させてから文字を確定させることがままあり、その作業に時間を要する。
|
今後の研究の推進方策 |
法華経の注釈に詳しい坂田氏に、研究協力を願いし、引用箇所の同定作業や、入力作業の補助を依頼し、入力作業の効率を高める。
|