「教外別伝」の語が表面的に浅く理解され、白隠に代表される臨済禅が、教相を軽視しているかのごとき誤解を招いている状況がまま見られるが、これまで知られることがほとんど無かった白隠直筆の書画や経典に対する注釈書、また、直弟子・東嶺の『宗門無尽灯論』を研究することによって、白隠やその直弟子は教相を非常に重んじ、経文を身に読めない禅師を非難さえしていることがわかった。その結果、これまで行われてきた教相を軽視するような「教外別伝」の表層的な理解の修正が必要であること、白隠の書画や『法華経』の注釈を中心に白隠の教相論を研究した結果、白隠が、道元以上に『法華経』を重視していたことが明らかとなった。
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