本研究の目的は、宗教が現地適応する現象を「グローカリゼーション」という概念で捉え、南インド・カトリック教会の一教区を事例として、カトリック教会がその普遍性を維持しながら地域文化を取り入れることで現地適応するという現象を「インカルチュレーション」という概念を援用しながら、宗教のグローカリゼーションについて考察するものである。 研究方法として、調査地であるタミルナードゥ州のカトリック教会で行われる宗教儀礼を集中的に調査し、儀礼の中で維持されているカトリック教会の定める普遍的な要素と現地文化を組み入れた部分を具体的に検証した。現地調査では、聖職者と信者の双方にインタビューを行った。 申請者は、研究課題を追究するためにインドに渡航し、現地のキリスト教の状況を参与観察し、それぞれの地域のカトリック教会の現地でしか入手できない文献を収集した。儀礼に関する資料は、文字資料だけでなくビデオと写真の両方で映像資料としても記録している。海外調査により、現地でしか入手できない貴重な資料を収集することができた。これらの資料は、カトリック教会が公式に出す声明を参照にしながら検証することで、本研究の課題である宗教の「グローカリゼーション」に付随する様々な問題を地域の歴史や文化的な背景を交えて浮き彫りにすることができた。 タミル社会の中で宣教を行ってきたカトリック教会の調査は、カトリック教会が各地域で現地文化を採り入れている姿を具体的に記録することができた。現地適応された宗教儀礼を人々がどのように受け入れているのかを具体的に観察することができた。
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