カトリック教会の見解によれば、教会の交わりと一致の要としての「普遍教会」という概念が立てられる一方、実際に宣教を行うための「地方教会」が存在するという。地方教会は、普遍教会の理念を内在させつつ、宣教地における固有の伝統や文化を反映させた宗教活動を行っているのである。このようにカトリック教会は、普遍的な宗教として伝播を遂げていく過程で、不可避的にローカル化した諸要素を採り込むことになる。いわば「グローカリゼーション」という現象は、宗教の拡大と表裏一体のものと捉えることができる。 本研究は、宗教の「グローカリゼーション」の具体的対象地域として、ヒンドゥー教が圧倒的に優勢な環境にあるインドを取り上げ、そこにおけるキリスト教側の適応・対処とそれに必然的に伴うキリスト教の変容の諸相について、主として宗教儀礼の方面から実証的に解明するものである。
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