研究概要 |
「宗教と社会」領域の研究と、「宗教と他界」領域の研究を、それぞれ自立的に平行して進めること、またそれらの統合的研究のための理論を模索すること、という2つの大まかな目的にそって、リサーチ・アシスタントも活用して、文献の整理、検討を行なった。成果の一部は、中間報告として、2本のモノグラフに発表した。国内調査は、関連して行なったが、海外調査は、新型インフルエンザの関係で計画中止した。22年度には、研究発表と討議のために、海外出張の計画を再開する。 業績としては、「宗教と社会」領域では、現代日本における終末論をユートピアニズムのネガとして捉え、国際関係論、キリスト教シオニズム、イエスの血統論といった主題と関連付けてまとめた。「宗教と他界」領域では、近代スピリチュアリズムの思想が宗教研究に与えた影響を、ジョン・ヒックの『死と永遠の生命』(Death and Eternal Life, 1976)に確認する作業を行なった。また、「永遠の哲学」の立場からの他界的宗教の研究として、ケン・ウィルバーの一連の著作を検討した。それぞれ、2つのモノグラフで報告した。 このほか、業績という形は取っていないが、2つの領域の統合的研究のために、「社会的宗教と他界的宗教をつなぐ:ひとつの糸口としての死後生」という理論的な試論をまとめた。 これらをまとめて、22年度には『社会的宗教と他界的宗教:比較宗教学の射程』という単著を、この研究仮題の中間報告として、広く議論を呼びかけるために、刊行の計画になっており、原稿の最終準備中である。
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