研究課題
本研究の目的は、日本を対象として、通世代的な言語的実践の伝達に伴い、言語活動における主体を示ず位置が多義性によって担われるということを示すことにある。その際、文字と語らい、想像と現実という2つ多義性の軸が考慮される。研究実施計画の第1点は、エディプスと阿〓世の各説たおける通世代的伝達においての形態の変遷を考察することであり、これについては研究代表者Shinguが英語論文を発表し、口承と経典の相互関係や主人公の性別の変化の可能性を述べた。第2点は、日本における神概念の通世代的的伝達に当たり、主体がどのような位置を占めるのかを探究することであり、これについては、研究協力者の岡安が、柳田と折口による口承についての民俗学を比較考察し学会発表した。第3点は、書くという行為によって如何に身体が言語に絡め取られてしまうかを、三島由紀夫という特異な作家の作品を通して検証することであり、これについては研究協力者のMaria Correaが英語ならびにスペイン語で論文を発表した。第4点は、日本文学において精神分析がどのように受容され言語実践の範囲を押し広げたかを踏査することであり、これについては研究協力者の新田が、森鴎外によるフロイトへの論評を探索して論文化した。第5点は、子が自らの起源を間う際に、親子関係の本質が謎として病理的な苦悩を与える有り様を考察することであり、これについては共同研究者の牧瀬が、病跡学的に考察して学会発表した。日本においては、音声的伝達と文字伝達との間に興味深い関係が幾つか存在し、音読みと訓読みの併用はその一つであり、また一般的に各国の言語において音声的な語らいと文字との関係がどのように構成されているかに照らして、この特徴を捉える必要があるが、ラカンの論文「リチュラテール」を基にこれについて考察しながら上記の諸発表について相互討論を行った。
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Perversion and Modern Japan-Psychoanalysis, literature, culture(Nina Cornyetz and J. Keith Vincent(eds.), Routledge, London, NewYork)
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