研究課題
本年度は主にバーバーマスの批判理論の基本的なテーマとして、「公共圏」「方法としての反省概念」「行為とコミュニケーション」という三つを取りあげ、それぞれについて比較的長い論考を脱稿した。「公共論」に関しては、初期のハーバーマスの理論に焦点をあて、その基本概念と理論的構図、問題意識を明らかにし、その今日的な意義について吟味する試みをおこなった。「方法としての反省概念」では、自己批判と合理的再構成という二つの自己反省概念を取り出し、ハーバーマスの方法が1960年代までと1970年代以降とで、前者を軸にしたものから後者を軸にしたものに転じた経緯を考察した。とくに両概念は、対話的理駐と構想力の問題を方法概念から捉えていく上で格好の手がかりとなっており、この点からみて、本研究課題に取り組むだあにも見逃せない。ことにフロイトの精神分析が「自己反省」のモデルとしてどのような理解されるかを自分なりに明らかにするととができた。また合理的再構成という反省概念を解明するととは、同時にハーバーマスにおける批判理論の言語論的転回の意義を明らかにする重要なステップにもなった。「行為とコミュニケーション」では、行為論にそくしたかたちで、コミュニケーション的合理性の概念を検討した。本研究の目的は、コミュニケーション的合理性がその内部で自足しない点を明らかにすること、さらにその合理性をその外部から相対化する道を探ることにある。行為論やコミュニケーション論の最近にいたるまでの展開を追跡した結果、コミュニケーション的合理性から区別された討議的合理性の概念が浮き彫りにされ、また合理的なものの外部を示すa-rational(irrationalではなく)な側面を言語の世界開示機能に見てとるようになった変化が、ハーバーマスの理論に確認できた。
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未来 No. 508-510
ページ: 31-37, 33-37, 32-37
未来 No. 511-515
ページ: 7-11, 31-37, 20-27, 31-37, 32-37
未来 No. 516-520
ページ: 30-37, 30-37, 30-37, 30-37, 34-41