本年度の研究成果については以下のとおりである。 1)研究の具体的内容 平成22年8月:文京区・東京国立博物館における彫三島碗の調査 平成22年12月:韓国・京畿陶磁博物館等における17世紀官窯出土片調査。 東亞大学校における釜山窯採集片の調査。 平成23年3月:愛知県美術館・大阪市立東洋陶磁美術館等にて釜山窯の茶碗・文献調査 2)研究の意義 本年度の調査により、釜山窯で製作された茶碗の新資料、窯で使われた道具などの具体的な資料について、実測図・写真・顕微鏡写真などを作成し、今後の研究の基礎的資料を整えることができた。 3)研究の重要性 当初は「茶碗の形」の変遷把握を目標としていたが、本年度の調査によって明らかとなったのは焼成技術の変遷である。その一部については成果発表を行ったが、釜山窯の前身と目される地域の窯、釜山窯の最盛期における現地の陶磁器との影響関係、最末期の京焼化について、より具体的な姿を描きうる可能性をつかんだと考える。
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