• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

装飾と「他者」-両大戦間フランスを中心とした装飾の位相と「他者」表象

研究課題

研究課題/領域番号 21520097
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

天野 知香  お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (20282890)

研究期間 (年度) 2009-04-01 – 2014-03-31
キーワードプリミティヴィズム / 装飾芸術 / フランス / 両大戦間 / 19世紀 / 他者 / エミール・ソルディ / アイリーン・グレイ
研究概要

(1)本年度は論文「装飾の「プリミティヴィズム」ー十九世紀後半における産業/装飾芸術運動と「他者」概念の配置」(25年度中に入稿。26年4月出版済み)を執筆し、19世紀後半から20世紀初頭のフランスを中心とし、関係するイギリスの状況も含めて、当時の装飾芸術をめぐるド・ラボルドやソルディ等主要な著作の言説における西欧の「他者」、すなわち非西欧諸国の位置づけを具体的に検証した。モダン・アートを先取りする形で展開された装飾芸術の美学の形成において、こうした非西欧諸国と重ね合わされた特質の果たした役割を明らかにすると同時に、美術に先立ち、装飾芸術をめぐる言説を通して「プリミティヴィズム」と言える状況が展開されていたことを初めて明らかにした。またその中で、「プリミティヴィズム」の従来の概念をより深く掘り下げて考察し、ゴンブリッチやコネリー、ディディ=ユベルマンの見解を元にその概念構造を示すことで、20世紀の表層的な歴史事象の特質で語られてきた「プリミティヴィズム」の概念を「他者」概念をめぐるより本質的な問題として新たに捉え直した。
(2)これまでのジャン・デュナン研究を論文「アール・デコ期における漆装飾ージャン・デュナン」にまとめ、さらにデュナンに先立って漆装飾に携わった装飾家アイリーン・グレイの調査をアイルランド、イギリス、フランスで実施し、成果を「モダニズムを差異化するーアイリーン・グレイについて」と題して口頭で発表した。そこでは東洋に由来する「他者性」を帯びた素材として流行した漆装飾が両大戦間のフランスの装飾芸術に果たした意味を明らかにしただけではなく、漆装飾からスティールやガラスなどより産業的素材による調度や建築に移行したグレイの制作活動を通して、アール・デコ装飾とモダニズムの拮抗する関係と、「他者性」の関わりを明らかにし、(1)と合わせて装飾と「他者」の多様な位相を示した。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アール・デコ期における漆装飾ージャン・デュナン2014

    • 著者名/発表者名
      天野知香
    • 雑誌名

      国際シンポジウム「装飾とデザインのジャポニスム」報告書

      巻: 無 ページ: 91-106

  • [学会発表] モダニズムを差異化するーアイリーン・グレイについて

    • 著者名/発表者名
      天野知香
    • 学会等名
      ラウンド・テーブル「西洋美術の女性芸術家:作家・表象・研究ージェンダー論の視座」
    • 発表場所
      明治学院大学
  • [図書] 西洋近代の都市と芸術2 パリI  19世紀の首都2014

    • 著者名/発表者名
      天野知香、喜多崎親、鳥海基樹、小倉孝誠、井上さつき、設楽聡子、寺本敬子、村田京子、三浦篤、鏡壮太郎、羽生修二、稲賀繁美、岩崎余帆子、石谷治寛、坂上桂子、有木宏二、吉田典子、賀川恭子、寺田寅彦、陣岡めぐみ
    • 総ページ数
      510(177-207)
    • 出版者
      竹林舎

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi