最終年度では、それまでの2年間の研究成果を踏まえ、研究論文を執筆し、研究発表を行い、国際シンポジウムを開催するかたちで、多くの研究実績を上げた。 1. 研究論文の執筆と発表 最終年度の研究成果を総括的に上げるべく、研究論文を3点執筆した。これらの成果は、現代中国映画作品についての検討や中国映画史に関連する作品考察、外国映画との比較参照など、本研究に関する広範にわたる論考となっており、すべて掲載決定または印刷中である。 2. 研究発表の実行 また、学会発表欄で挙げた通り、日本と中国の大学で日本語・英語・中国語による研究発表を4点行った。そのうち招待講演3点を含むこれらの研究発表は、とりわけ第六世代・「新記録映画」に緊密に関わる、中国映画における速度および生成変化についての考察や、『シネマ』の映画思想についての検討、現代中国イシディペンデント系の映画における潜在性の問題に関連する外国映画作品についての比較研究など、本研究に関して多視点による総合的な考察を行うことができた。 3.シンポジウムの開催 研究最終年度の締めくくりとして、「現代中国映画を討議する!-第六世代・ドキュメンタリー映画」と題する国際シンポジウムを開催した(平成24年1月16日、北海道大学)。中国映画人協会機関誌『電影芸術』編集長呉冠平、現代中国ドキュメンタリー映画作家王我、上海大学映画芸術技術学院教授石川が来日し、日本学術振興会特別研究員川崎公平、北海道大学大学院文学研究科博士課程劉洋も加わって、合わせて5つの講演・研究発表を行った。第六世代映画と「新記録映画」について集中的に討議するこのシンポジウムの開催によって、本研究対象に対する多角度の検討と議論ができ、豊富な研究成果を上げることができた。
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