ハルモニアがトノスとして特筆されるようになった所以と究明してアリスティデース『音楽論』の第一巻の究明に努めた。アリスティデースによれば、本来は旋法の違いを表わしているはずのハルモニアであるが、それが2オクターヴの完全音階に一元化されると、近代洋楽における調性の違いを想わせるようになる、そして、このような変革と理論的に推し進めたのがアリストクセノスであるということになる、来年にこのような理論的な見通しを『音楽論』全三巻を訳読することによって確認し、年度末に近い2月にはイギリス(Vミングトン)にバーカー教授を訪ね、討議を重ねた。日本音階との対比は、謠曲の音の働きを分析することと通して一定の認識に達することができた、この事実はアリスティデースのリズム論にかんする叙述かたも確認された。
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