研究課題/領域番号 |
21520126
|
研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
宮永 美知代 東京芸術大学, 美術学部, 助教 (70200194)
|
研究分担者 |
小松 佳代子 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (50292800)
青柳 路子 東京藝術大学, 美術学部, 助教 (70466994)
島田 和幸 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80130524)
|
キーワード | 美術解剖学 / 教育 / 人体 / 書誌 / 生と死 |
研究概要 |
1.日本の教育としての美術解剖学の講義内容について書誌的な調査を行った。日本での美術解剖学を創始した森鴎外が講義のために著したテキスト『藝用解體學』で触れられているドイツ語の美術解剖学の書籍(コルマンの『藝用解剖学』初版、等)を収集し、内容の具体的検討を行った。 2.ドイツでの美術解剖学教育の現状については、ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学より来日したマンフリート・ツォラー教授の講義や氏との研究会等の討論を通じて、ドイツでの美術解剖学の教育方法の現状を知った。旧西欧圏では、美術解剖学は第二次大戦後、写実の用のもの、すなわち古典的アカデミズムの代表として位置づけられ、ほとんど美術学校で教授されなくなった。一方、旧東欧圏のベルリンやドレスデンの複数の美術大学では、比較解剖学の学びや、立体造形制作などを組み入れ、システマティックな講義を行っていた。 3.美術解剖学会でのツォラー教授の講演や、複数の美術大学での講義を通して、ドイツの美術解剖学の現状が伝えられ、日本とドイツの美術解剖学、教育の専門家と意見の交換が行われた。今後の教育としての美術解剖学発展のための礎が築かれた。また、ツォラー先生との交流を契機に、ドイツでも『解剖と美術研究会』が設立され、日本との交流を深めてゆくこととなった。 4.日本とドイツの美術解剖学教育の内容の比較により、日本の美術解剖学はドイツより幅広く美術と人間の問題について考える教育・研究分野となっていることが明らかになり、日本の美術解剖学の特質が明らかになってきた。
|