フォルテピアノ、チェンバロ、クラヴィコードの3種鍵盤楽器は、発音原理が全く違うのにもかかわらず、ハイドンが活躍した18世紀後半において共に演奏されていたことが知られている。本研究の課題は、この18世紀後半の実態に即したハイドンのクラヴィーア作品の演奏法の確立である。3種鍵盤楽器の演奏法と音楽上の着想との関係に言及しながら11回行われたクラヴィーア作品全曲演奏会による演奏研究の結果、クラヴィコードの演奏テクニックと音楽上の着想は、ハイドンの全クラヴィーア作品に敷衍されるべきであるという結論に達した。
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