研究課題
平成23年度は、前年度までに実施した調査に基づいて研究のまとめを行った。まず1930年代のアメリカで、オットー・ノイラートのアイソタイプの考え方がどのようにルドルフ・モドレイによって批判的に受け継がれたかを考察し、アメリカのニューディール政策を背景として、シンボルの標準化という理念をモドレイが具体化するに至った経緯を明らかにした。この研究内容は、レディング大学の研究グループが実施している「ISOTYPE Revisited」プロジェクトに協力していたことから、同プロジェクトの成果報告書である『ISOTYPE』への寄稿論文として完成させた。論文そのものはすでに21年度に提出していたが、刊行の遅れ(2012年に刊行予定)もあり、22年度に実施した調査で得られた多くの新知見を反映させて大幅に再構成した。次に、1940年代から70年代までのモドレイの活動を追跡し、彼を主軸とした米国における国際視覚言語運動の展開について論文をまとめた。1930年代のアメリカでの図像統計の実践から次第にシンボルの標準化に関心を抱きはじめたモドレイは、ヘンリー・ドレイファスとともに1950年代にシンボル辞書の編纂を計画し、1960年代にGlyphs Inc.を設立、国際的なシンボルの標準化運動を活発化させることになる。以上の彼の活動の解明とともに、従来「デザイナー」として扱われていたモドレイが、実際には「コーディネーター」として活動していたことに着目し、ICOGRADAやウルム造形大学関係者、さらには勝見勝らとの交流によって、この運動の国際化に貢献したことを明らかにした。この研究成果については国際会議で研究発表を行い、論文としてまとめた。なお、本研究遂行の過程で複数の研究者による類似の研究プロジェクトの存在に気づき、本研究課題の同時代的重要性を改めて認識したことを付記しておく。、
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Proceedings of IASDR 2011, the 4th World Conference on Design Research
巻: (CD-ROM)