本研究の目的は以下の通りである。 日本における印章や篆刻の研究、なかでも篆刻家や印譜の、広い視野に立った体系的な研究はまだ殆んど行われていない。まさに未開拓の学術領域であり、考古学、古文書学、美学・美術史などに大きい成果をもたらすものと確信する。 本研究は、「日本の篆刻」の歴史的、文化史的な解明を目的とする。総括的には、日本の印学の体系化を目指す。具体的には、印章や篆刻、篆刻家に関する文献・資料の調査、収集、整理、分析、研究をする。調査は、博物館・美術館・図書館・個人の収蔵家を訪問しての資料の撮影、聞き取りや、データーのファイル化が中心となる。これまで収集した文献・資料の分析、研究をする。 上記の目的に基づき、今年度は、印章や篆刻、篆刻家に関する文献・資料の調査、収集、整理、分析、研究を行った。特に、これまで収集した文献・資料を基に、日本の印章や篆刻に係る通史を執筆した。また、中国、朝鮮、日本三国の印の類似点や相違点を明らかにした。 また、古書店、古美術店、個人の収蔵家等から資料の収集を行い、篆刻家に関する文献・資料の調査、整理、分析、研究を進めた。
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