両大戦間期におけるポーランドの前衛について調査研究を行った。中でも、ヴィトカッツィの活動に注目しながら、彼の「肖像画協会」活動及びその周辺について調査した。ポーランドのワルシャワ国立美術館、クラクフ国立美術館の学芸員の協力も得ながら、作品調査ならびに文献収集を実施した。これまで継続的にポーランド美術についての調査を行っているため、かなり資料は集まっているが、近年になってこれまでになく出版が相次ぎ、新たに入手可能となる資料が多く散見される。そのため、現地に赴いてそうした貴重な資料を調査収集し、必要に応じて複写を行った。またこれと合わせて、日本美術のコレクターであり、かつ「若きポーランド」の作家たちのよき理解者でパトロン的役割も果たしたフェリクス・ヤシェンスキのコレクションには、20世紀初頭のクラクフを中心とした作家たちの重要な作品が数多く含まれているため、クラクフ国立美術館において、このヤシェンスキ・コレクションを中心とする作品の調査を進め、研究者との意見交換も実施した。 平成21年度はヴェネチア・ビエンナーレ開催の年でもあり、近年国際展に参加するポーランド作家の比率が高まっていることから、ポーランド館および企画展示についても調査を実施した。 国内では、東京外国語大学ポーランド文化研究室の関口時正教授並びに神奈川県立近代美術館の水沢勉氏に研究協力を依頼し、資料の閲覧ならびに意見交換を行うと共に、ポーランドのアニメーション上映会「ポラニメ!」も、東京外国語大学と京都精華大学ならびに研究代表者の所属する京都市立芸術大学の共催で開催した。得られた資料については、コンピューターに入力途中である。
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