(1) 一次資料の収集 フランス国立図書館(BnF)で平成22年8月および平成23年3月の二回にわたり、今回の研究に関する資料収集を行った。その結果、第一次大戦中のフランス演劇における女性の表象と当時の国家総動員体制との関係、当局による演劇の検閲の実態、メロドラマによる戦争の表象とその限界、詩的な演劇の上演がいわば国家による呪術的な悪魔払いのような機能を担っていたことなど、単に個別の劇作品に関する情報だけでなく、それらに共通する数多くの興味深い視点が得られた。 (2) 学会発表ならびに論文の投稿 まず今回の研究に関する概論的な研究成果を報告するために、平成22年8月までに論文1本(「戦争と演劇に関する試論:第一次世界大戦とフランス演劇」)を執筆し、学会発表1件(戦争と異文化-第一次世界大戦とフランス演劇-)を行った。その後、より具体的かつ個別的な問題について論じるために論文1件(戦争とメロドラマ-第一次大戦下のフランス演劇における女性の表象-)を発表した。 上記のように、平成22年度の本研究は概ね順調に進行したと判断している。
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