19世紀前半から20世紀初頭のポピュラー系公開演奏会について、前年度に続き以下のような調査・研究を行った。 1、同時代資料および文献データベースによる演奏会データの収集と整理 同時代資料(新聞、雑誌、書籍)の情報を含む文献データベースとしてThe Times Archive、Google Books、Repertoire International de la Presse Musicale等を用い、主に19世紀中葉のロンドンとパリに関して演奏会データを収集、ミュザールやジュリアンが主催したプロムナード・コンサートなど大衆向け演奏会の実態把握を進めるとともに、そうした演奏会の実践が「popular music」および「classical music」というカテゴリー概念の形成に対して一定の役割を果たしたことを確認、その歴史的意義を考察した。 演奏会データの収集、整理についてはさらに作業を継続中。 2、大英図書館およびパリ国立図書館における楽譜調査 大英図書館では前年度に存在を確認したジュリアンのオーケストラ総譜についてさらに内容を調査。 パリ国立図書館では、ミュザールとジュリアンの作品に関して、オンライン化されたカタログ・データに現れるもの以外にも多数の楽譜が所蔵されていることを確認。手書きの所蔵目録からデータを書き写したが、残念ながら滞在期間が限られていたため、具体的な内容の検討にまでは至らなかった。 両図書館での所蔵楽譜確認作業はさらに継続が必要である。
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