研究課題/領域番号 |
21520161
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研究機関 | 東京音楽大学 |
研究代表者 |
小日向 英俊 東京音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (00399742)
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キーワード | 音楽学 / 南アジア音楽 / ワールドミュージック / 現代日本 / Acculturation / 変容 / 受容 / インド |
研究概要 |
京都、名古屋、関東地域において、日本人南アジア音楽実演者の奏演資料を収集した。特に、アフリカの太鼓ジャンベやギターなどとシタールや声楽、フラメンコ舞踊のコラボレーション、また日本在住外国人とのコラボレーションでは、シンセサイザー、ベリーダンスなどとの共演事例なども観察した。特にグローバルシティ東京において、日本人、南アジア出身者、その他の外国籍居住者が「ネットワーク型受容」モデルの中で、多様なコラボレーションを繰り広げ音楽が変容する様子を確認した。 コルカタ在住の打楽器奏者の来日招聘事例では、私的レベルにおける音楽受容を駆動する関係者の個人的つながりや、関係者コミュニティとのネットワークを観察した。この人的ネットワークを通じて、関西、中部、関東にいて実演機会が設けられ、南アジア音楽との接触機会が広げられた。この私的ネットワークを通じて、インド人奏演者の東日本大震災被災地訪問の希望が実現され、音楽により復興支援の手をさしのべたことも、特筆すべきことである。 これと平行し、横浜と沖縄市においてインド移民とそのインド音楽受容についても調査した。戦後の初期インド音楽受容期以前にも、一定レベルでのインド音楽受容があったこと、沖縄にもインド人コミュニティが存在するが、その音楽文化は沖縄にそれほど大きな規模で広がらなかったことも確認した。 また公的受容については、南アジア音楽を扱った日本発行の録音物を整理し、どのようなジャンルがどのような経緯で録音物として市場に出たかを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南アジア音楽受容史の受容段階を「公的受容」「私的受容」「ネットワーク型受容」とモデル化した。新たな文脈における変容の事例の調査が進んでいる。インド音楽については、一定レベルの資料を得たが、ネパール、パキスタンなど周辺地域に関する資料がやや不足している。また、収集済資料について、未整理のものが残っている。実演者を交えた学術シンポジウムの開催を予定したが、諸版の事情から未開催となった。
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今後の研究の推進方策 |
23年度までに収集した資料の整理を進める。受容史の整理に基づき、変容の音楽的内容を分析整理する。パキスタン、ネパールについての資料を追加収集する。沖縄市インド人コミュニティについての追跡調査を実施する。
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