研究課題/領域番号 |
21520164
|
研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
白石 美雪 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (60298023)
|
研究分担者 |
高橋 陽一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (70299957)
今岡 謙太郎 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (30277777)
|
キーワード | 総合芸術批評 / 読売新聞 / 伊澤修二 / 演奏批評 / 国学 / 伝統 |
研究概要 |
本研究では最終年度となる平成23年度も前年度に引き続き、総合芸術批評の形成過程の研究を軸に据えて(1)音楽新聞雑誌資料のデータ整理、(2)小中村清矩など国学者関係史料の分析、(3)『読売新聞』『朝日新聞』を中心とする明治期新聞等の芸術批評の分析を行った。白石美雪(研究代表者)が研究全体の調整を行い、高橋陽一(研究分担者)、今岡謙太郎(研究分担者)と共同で研究計画の検討と史料研究を行った。 この成果として、研究代表者白石美雪は論文「演奏批評・楽評と称する批評の形成-1898(明治31)年『読売新聞』の音楽批評」(国立音楽大学大学院研究年報『音楽研究』第24輯、2011年3月、47-58頁)を執筆した。ここでは明治音楽会が始まった明治31年に焦点を絞り、読売新聞に掲載された音楽批評、演奏批評を網羅的に分析することによって、新聞において批評家と自称する書き手が音楽に関する知識を背景に技術批評を試みるようになった過程を活写した。その結果、明治初期の新聞で福地源一郎らが文明開化論の一環として論じた音楽改良論とは一線を画した形で、この時期に新たな音楽批評がはじまったことが確認された。これに対して、研究分担者今岡謙太郎は音楽批評の形態が定まっていく背景として、明治20年代の演劇批評がひな型となっていたことを指摘した。 また、研究分担者高橋陽一は、明治期総合芸術研究の動向を踏まえて、伝統や芸術に関するモラルの問題を提起するテーマに本研究の成果を明示して、2011年11月20日、日本道徳教育学会第78回大会シンポジウム「『生命に対する畏敬の念』をどう育てるか」で「「畏敬の念」と「宗教的情操」のあいだ」を報告した。また、高橋陽一著『新版道徳教育講義』(武蔵野美術大学出版局、2012年3月)で「伝統文化」などを執筆してこの成果を学生教育に生かした。
|