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2011 年度 実績報告書

ゴシック・リヴァイヴァルとラファエル前派―建築と絵画の芸術文化的総合

研究課題

研究課題/領域番号 21520166
研究機関フェリス女学院大学

研究代表者

近藤 存志  フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00323288)

キーワードイギリス美術史 / ゴシック・リヴァイヴァル / ラファエル前派 / デザイン史 / ウィリアム・ダイス / ヴィクトリア湖 / 中世趣味 / キリスト教芸術文化
研究概要

本研究の課題は、19世紀イギリスにおいて同時代的に展開したゴシック・リヴァイヴァルのデザイン運動とラファエル前派の絵画運動の精神的類似性に注目することによって、建築、絵画、デザインといった分野上の枠組みを超えた総合芸術運動として展開した「ヴィクトリア朝ゴシック」の全容を明らかにすることである。そのためにこの芸術運動の原動力となった19世紀イギリスの中世趣味や中世回帰的傾向との関わりを考察することが重要であった。本年度は、具体的にラファエル前派の社会観察的作品とゴシック・リヴァイヴァルのデザインおよび建築理論の中に、中世社会を理想視したヴィクトリ朝期イギリスのキリスト教的価値観の影響が見られることを指摘することで、建築、絵画、デザインの芸術諸分野を総合したキリスト教芸術文化が形成されたことを確認した。また、中世の教会、社会、芸術のあり様を理想視した芸術家たちの中世趣味や中世回帰的傾向が、19世紀イギリス社会の諸事情に対する批判的関心をしばしば重要な原動力としていたこと、そして絵画や建築といった芸術表現方法上の差異を越えて同時代の社会を改良しようとする意志を含意していたことを論じた。さらに昨年度に引き続き、信仰表明の手段として芸術創造行為を捉えていた芸術家たち(絵画の分野からはW・ダイスやナザレ派の画家たち、建築の分野からはA・W・N・ピュージンやG・E・ストリート等)が、世俗的な名声を確立しようとする自己の欲求を断ち切ることのできる創作環境の必要性を自覚し、宗教的共同体での芸術創作を志向した事実についても考察した。
研究成果については、主として向井秀忠・近藤存志編『ヴィクトリア朝の文芸と社会改良』(音羽書房鶴見書店、平成23年10月刊行)の6章および8章にまとめた。その他、平成23年H月、米国ヴァンダービルト大学で開催された北米ヴィクトリア朝研究学会の年次大会において研究発表を行った。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 暴かれた現実とキリスト教的憐れみの実践-ラファエル前派が見た改良されるべき社会2011

    • 著者名/発表者名
      近藤存志
    • 雑誌名

      ヴィクトリア朝の文芸と社会改良(向井秀忠・近藤存志編)(音羽書房鶴見書店)

      ページ: 139-182

  • [雑誌論文] 信仰告白としての芸術表現-ゴシック・リヴァイヴァルとキリスト教的<社会改良>2011

    • 著者名/発表者名
      近藤存志
    • 雑誌名

      ヴィタドリア朝の文芸と社会改良(向井秀忠・近藤存志編)(音羽書房鶴見書店)

      ページ: 247-271

  • [学会発表] Design, Space and Ceremony : Nationalistic-Religious Allegorical Themes in the Gothic Revival2011

    • 著者名/発表者名
      近藤存志
    • 学会等名
      "Performance and Play" : Annual Conference of North American Victorian Studies Association (NAVSA)
    • 発表場所
      Vanderbilt University, Nashville, TN, USA
    • 年月日
      20111103-20111106
  • [学会発表] 近代芸術文化における教会堂建築2011

    • 著者名/発表者名
      近藤存志
    • 学会等名
      日本建築学会建築歴史・意匠委員会、西洋建築史小委員会主催、第2回西洋建築史若手研究者研究発表会
    • 発表場所
      日本建築学会建築歴史・意思匠委員会、西洋建築史小委員会
    • 年月日
      2011-11-19

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公開日: 2013-06-26  

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