大規模な舞台芸術作品であるオペラを創作上演する際に、上演活動を支えるオペラ団体と、上演の場としての劇場・ホールとの連携が不可欠であり、これに加えて、初演以降再度上演し、レパートリーとして定着するまでの手法開発とその制度設計が必要であるとの認識のもと、研究を進めている。研究2年目の平成22年度は、上演会場の整備の状況、それを背景として多くのオペラ作品が創作された1980年代とそれに至るまでの日本における創作活動状況の整理に基づき、学会発表(11月13日)、さらに学会誌への論文投稿を行い、受理された(刊行中)。 [課題1に関する成果]「日本の舞台芸術政策における創作活動の位置づけ」を考察するために、1980年代を中心とした舞台芸術政策の一般的な動向についてまとめた。さらに、舞台芸術政策におけるオペラ創作活動の位置づけの整理を行った。これらにより、本課題の論点を整理し、創作活動の位置づけを学会発表、論文投稿した。 [課題2に関する成果]「創作活動と上演環境の整備の連動を検証」するために、1970年代までのオペラ創作活動の主体を整理した。それらを踏まえて、1980年代の日本におけるオペラ創作活動の詳細に関する整理・データ化に着手、初演106作品の上演情報確認を継続した。オペラ作品の委嘱主体としてのホール、オペラ団体ほかの役割を検証した。これらにより、委嘱作品の初演の実態に関する検討継続の必要があると認識した。 [課題3に関する成果]創作活動と上演活動における主体性の確保に関するヒアリング調査を開始した。それにより、作品創作の機会担保と上演後の作品保護の条件の整理、舞台上演の再現性確保と質的向上の条件の整理、創作されたオペラ作品がレパートリーとして定着するまでの支援制度の検討が必要であると認識した。平成23年度は、これらの点に関して研究を進める予定である。
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