本研究では、総合舞台芸術作品であるオペラを新しく創作・上演する際に、オペラ団体が果たした役割を明確にした上で、劇場・ホール、行政、地域のメディア等の各機関の関わりを中心に検証した。その際に、多くのオペラ作品が創作されるようになる1980年代以前と1980年代とに区分して、ホールの建設による周年行事等との関連、メディアとの関係や行政の果たした役割などを中心に相違点を明らかにした。さらに、創作された作品をレパートリーとして定着させるための手法の研究により、初演後ただちに複数回再演する条件を整え実施するための制度設計が必要であると結論づけた。また、この時期も含め過去に上演されたオペラ作品は、その資料の散逸が著しいことが確認されたため、我が国における創作活動研究と資料の収集保存を早急に進めなければならないことを再認識した。
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