研究課題
最終年度である本年度は、昨年度まで研究分担者であった四天王寺大学経営学部の立岡浩教授が、諸々の理由により研究分担者から連携研究者へと変更になったため、代表者である長澤のみによる研究成果のまとめを行った。本年度は主に、1.これまでの2年間の現地調査によって得られた情報や資料の整理、2.科研による調査の期間中に発表された内外の研究成果の収集と検討、3.研究対象である日本のポップカルチャー・コンテンツの最近の動向についての調査、以上の三点を行った。1.日本で流通するコンテンツがほぼリアルタイムに海外でも受容・享受されている現状が明らかになった。その主な流通経路としてはインターネットの普及によるところが大きい。インターネット利用者の多くを占める若年層においては、GUIを備えたコンピュータが直感的操作を可能とするために、日本語をさほど大きな障害と考えていないことも重要な要素である。2.これまでの研究、例えば中村&小野(2006)のような、旧来のメディアと流通に基づいた分析は、市場中心主義の限界や新たなデジタルコンテンツと流通のあり方への理解不足が浮き彫りとなる結果となった。今後のポップカルチャー受容については、コミックマーケットなどの巨大な同人市場も含め、アニメ、マンガを中心とした新たな文化ジャンルに展開していることを念頭に置かなければならない。3.2011年の夏にはトヨタ自動車の北米向けのテレビコマーシャルで、「初音ミク」というボーカロイド(架空のキャラクターに歌を歌わせるコンピュータソフト)のキャラクターが登場し、最近はGoogleのテレビCMでも採用されるなど、日本のコンテンツが音楽をも包含しつつある。これまで以上に日本のポップカルチャー・コンテンツが世界中で注目を集めるであろう。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
ヘミングウェイ研究
巻: 第12号 ページ: 3-15
椙山女学園大学国際コミュニケーション学部言語と表現-研究論集
巻: 第8号 ページ: 1-6
Nanzan Review of American Studies
巻: Vol.XXXIII ページ: 217-219
巻: XXXIII ページ: 275-277