本研究は、江戸時代の戯画作者である耳鳥齋の代表作≪別世界巻≫、≪地獄図巻≫、そして≪仮名手本忠臣蔵≫などの肉筆作品に、『絵本水や空』、『画話耳鳥齋』などの版本を加え、その画業の全貌を明らかにした。加えて、与謝蕪村らによる人物戯画、さらには漫画の元祖とでも言うべき鳥羽絵本をも加えて、大坂の戯画の系譜を鮮明にした。滑稽な世相を鋭く抉り出して、風雅の領域にまで昇華させた数多くの作品が、笑いの町大坂の原点であることを明らかにした。これこそ近代漫画(岡本一平など)、そして現代のアニメーションの源流というべきである。
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