本研究は、平安時代中期に成立した『将門記』、室町時代中期に成立した『大塔物語』をはじめとする、十世紀から十六世紀までに現れた数多くの真名表記テキストを考察の対象とし、往来物、古辞書、軍記物語等の関連する諸書も幅広く視野に収めて、テキスト間の用語、表現の類似、関連を詳細に調査し考究するというものである。その結果、真名表記をめぐる表現と知の系脈が、古代から中世に至る数百年もの間、日本の文化、学問の基底を支え続けたことを明らかにすることができた。成果は、報告書『『大塔物語』をめぐる知の系脈』等にまとめて提示した。
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