平成22年度における本研究課題の成果は以下の通りである。 (1)敦煌書儀語彙集成素案と校訂本文との照合 年間を通しての作業である[語彙集成素案]と敦煌書儀の校訂本文との照合は、「吉凶書儀」を中心に実施した。その結果、「吉凶書儀」との照合をほぼ終えることができた。あわせてさらに留意すべき語彙を抽出することができた。 (2)奈良朝書簡語彙集成の検討と素案統合作業 本年度は正倉院文書を中心資料として作業をおこなった。活字資料と影印資料とを引き合わせながら本文の抽出作業を進めることができた。さらに作業を効率化するために、『正倉院文書訓読による古代言語生活の解明』(研究代表:桑原祐子)によって公表された注釈を活用した。 (3)敦煌書儀の実見調査と最新研究成果の収集 本研究課題において、敦煌書儀の実見は重要な作業である。当初計画では中国での調査を予定していたが、種々の事情により台湾での所蔵文書調査に変更して実施した。あわせ台湾大学で開催された研究集会に参加して成果の中間報告をおこなった。 以上の作業・調査から得られた知見については、次のような形で公開した。 [論文]大伴家持の詩文表現受容-歌と左注-(『2010和漢比較文学検討会論文集』PP.43-50) [口頭発表]大伴家持の詩文表現受容-歌と左注- (和漢比較文学会第3回特別研究発表会、台灣大学、9月3日) [口頭発表]万葉集の漢語表現-大伴家持の「挽歌一首」- (長野県国語国文学会秋季研究会、信州大学教育学部、11月27日)
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