1、『俳諧十論』の注釈書(『十論裸問答』『俳諧十論発蒙』『十論記文秘説』『十論聞書』『俳諧十論弁秘抄』『十論桟梯』『十論為弁解』『俳諧十論解』『俳諧十論衆議』『俳諧十論衆議拾遺』『非十論』など)の調査、研究を行った。その結果、江戸時代の『俳諧十論』解釈は、近代以降のそれと比して、支考に対する過度な偏見はなく、それぞれの俳諧観に応じてではあるが、『俳諧十論』自体をきちんと読もうとしていたことが明らかとなった。 2、支考俳論・美濃派と、蝶夢俳論(俳諧観)の関係について研究を行った。その結果、蝶夢は同時代の〆美濃派の在り方には批判的であったが、支考についてはむしろ深いところで共感していたことが明らかとなった。 3、『風俗文選』の解読を開始した。来年度に継続するが、現時点で、許六と支考の俳文集に対する考え、方の違いが明らかとなり、支考の俳諧観、俳諧活動の特徴が明確になるという見通しが得られた。 4、『風俗文選通釈』、『俳諧答問抄』など、反美濃派・非美濃派の俳書の中に見られる支考の影響の調査を開始した。来年度に継続するが、当初の見込み通り、多くの影響が見られることが具体的に指摘できる見通しが得られた。 5、許六系伝書等、非美濃派的な俳書(伝書)の調査を行った。 6、Webサイトの開設準備がほぼ調った。来年度4月中には公開する予定である。 上記調査、研究により、江戸時代中期以降の支考と美濃派の享受のされ方が具体的に明らかとなってきた。
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