研究課題/領域番号 |
21520200
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝明 和洋女子大学, 言語・文学系, 教授 (60255172)
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研究分担者 |
玉城 司 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (20410441)
伊藤 義隆 湘北短期大学, 総合ビジネス学科, 教授 (30287940)
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キーワード | 近世文学 / 俳諧 / 芭蕉 / かるみ / 続猿蓑 / 地方俳書 |
研究概要 |
今年度に関しては、(1) 元禄から宝永にかけて成立した俳書の調査、(2) 俳書や関連する資料の収集、(3) 「元禄時代俳人大観」続稿の作成、(4) 『続猿蓑』研究史の整理と論点の明確化、(5) 地方俳書の一覧化と検討対象作品の選定、という五つの到達目標を立てて研究を行った。(1) に関しては、尾道大学図書館・三原市立中央図書館・柿衛文庫等への調査旅行を行い、今まで気づかなかった資料の存在に気づくことができた。(2) に関しては、天理大学附属図書館や柿衛文庫を中心に、未収集資料の複写を依頼し、資料の充実を果たすことができた。この(1)と(2)は継続的に行う必要があり、将来的には元禄俳諧資料のデータベース化を行う必要があると考えている。(3) に関しては、〔雑誌論文〕の項に掲げるように、「元禄時代俳人大観」の(三十三)と(三十四)を作成し公表した。(4) に関しては、なお不十分ながら、研究史の整理を一通りは終えて、『続猿蓑』の成立論と作品論とがかみ合っていないという研究状況をつかむに至った。(5) に関しては、一覧化にはなお至らないものの、重要不可欠な作品の選定ほほぼ終え、ことに三原地方の『備後砂』が着目すべき俳書であるとの考えから、やはり〔雑誌論文〕の項に掲げるように、「『備後砂』所収連句の傾向」と題した論文を発表。これまで作品の内容に関する合析は皆無であった同書にメスを入れることにより、地方俳書の扱い方に一定の手応えを得た。また、これから『続猿蓑』や地方俳書のとくに連句作品を分析するにあたり、一つの基準を作る必要があるという考えかち、『すみだはら』「むめがゝに」歌仙を対象に、三段階で付合の過程を追うという新しい方法を試み、論文として発表した(〔雑誌論文〕参照)。これを用いることで、作品の分析と比較・検討が進むものと考えており、次年度以降の目標にこれをいかす所存である。
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