研究課題/領域番号 |
21520200
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝明 和洋女子大学, 言語・文学系, 教授 (60255172)
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研究分担者 |
玉城 司 和洋女子大学, 人間学部, 教授 (20410441)
伊藤 善隆 和洋女子大学, 総合ビジネス学科, 准教授 (30287940)
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キーワード | 近世文学 / 俳諧 / かるみ / 地方俳書 / 続猿蓑 |
研究概要 |
平成22年度は、元禄時代(貞享元年から宝永四年までをさす)の俳書に関する網羅的調査を終えて、地方俳書の一覧化を作ること、『続猿蓑』の芭蕉一座歌仙を分析すること、の二点を大きな目標として、研究を行った。また、こうした調査を通して知り得た俳書の紹介にも努め、佐藤・玉城・伊藤は『江戸書物の世界』(笠間書院平成22年刊)などで翻刻・紹介を行った。 前者は、予定通り作業を終えることができ、一覧化もできて、その先に見越していた地方俳書の分析に着手した。『近世文芸研究と評論』78に発表した「元禄時代俳人大観(三十五)」は、その成果の一部であり、より詳細かつ網羅的な報告を23年度に行う予定である。 後者では、『続猿蓑』を分析する前提として、時期が近接する蕉門の『すみだはら』『別座鋪』の分析から始め、その成果の一部は『和洋女子大学紀要』51に「『別座鋪』「紫陽草や」歌仙分析」と題して発表した。これらの分析を通じて、「かるみ」期の芭蕉一座連句の分析には、(1)作者は前句から何を想起したか、(2)そこからどのような場面を描こうと思い至ったか、(3)それを句にする段で素材・表現をどう選んだか、の三段階に分けて考えることが有効であることがわかり、連句において「かるみ」が具現する過程では、芭蕉の積極的な関与(添削など)の想定されることがわかってきた。そこで、添削過程の知られる『続猿蓑』「八九間」歌仙に関して、小林孔氏の協力を仰ぎ、同じ方法で分析することに取り組んだ。結果、仮説をほぼ証明することができ、これは23年度中に『近世文芸研究と評論』誌上で発表予定である。さらに、芭蕉が一座しない連句の分析にも着手した。
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