研究課題/領域番号 |
21520200
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝明 和洋女子大学, 言語・文学系, 教授 (60255172)
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研究分担者 |
玉城 司 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (20410441)
伊藤 善隆 湘北短期大学, 総合ビジネス学科, 准教授 (30287940)
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キーワード | 近世文学 / 俳諧 / かるみ / 地方俳書 / 続猿蓑 |
研究概要 |
平成23年度は、前年度までに終えた元禄期前後の全俳書に関する網羅的調査を受け、全俳書の解題と入集者・入集句数一覧を、『元禄時代俳人大観』第一巻~第三巻(八木書店2011・6~2012・3)にまとめて刊行した。この時代の俳書と俳人に関する基本的データが整ったわけであり、これ自体が一つの目標であったと同時に、これは、地方俳書のリストアップや、分析作業にも大きく貢献することになった。本書が今後の俳諧研究の基本的文献になることは間違いない。 本研究の課題名にも掲げた『続猿蓑』については、ほかの蕉門俳書に比べ、研究が進んでおらず、積極的なアプローチが望まれるところであった。これまで、『炭俵』や『別座敷』を検討する中で、芭蕉たちの連句に関しては、(1)見込(作者は前句をどうとらえたか)、(2)趣向(それを踏まえて、付句ではどのようなことを詠もうと考えたか)、(3)句作(実際に句にする段階でどのような形象化を図ったか)という、三段階による分析が有効であること、とくに(2)から(3)の過程での捨象や飛躍に特色があること、を確認してきた。その手法を応用して、同書の「八九間」歌仙を読み、「『続猿蓑』「八九間」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』80、2011・6)と題する論文にまとめた。同稿では、(3)における形象性の点で、芭蕉以外の連衆には不十分な面があり、芭蕉の推敲を経て格段に優れた付合になる事実を明らかにした。さらに、同書の「雀の字や」歌仙を続けて読み、上記の事実を確説に近づけることができた。その成果は、「『続猿蓑』「雀の字や」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』82、2012・6予定)にまとめている。 『炭俵』『別座敷』『続猿蓑』に代表される蕉風の「かるみ」作品を、文学史的に相対化して位置づけるため、同時期の地方俳書にも目配りしており、そのいくつかについて基礎的な調査は終え、連句の分析作業にも着手したところである。継続的な検討をしていきたいと考えている。
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