『経国集』対策を主たる対象または出発点として、古代日本の文学・文化・政治・思想・宗教などについて領域横断的に考究する研究会を平成23年4月から平成23年8月の間に計6回開催し、計11人の口頭発表と討議を行った。連携研究者・研究協力者各自が個別テーマを設定しての発表と討議である。それぞれの研究テーマは下記のようであった。 『経国集』対策における儒教的宇宙観(桓武の治世との関わり) 『経国集』対策の「信」と『古事記』の信 『経国集』対策と『万葉集』の忠・孝について 『経国集』対策と「十七条憲法」 『経国集』対策と道儒の優劣 『経国集』対策と「随時」の礼制改変 『経国集』対策における「郊祀」 『経国集』対策の新羅意識 『経国集』対策における周公旦(『源氏物語』との比較) 神虫麻呂対策の「今」 『経国集』対策と物語における文/武の世界 平成22年度まで続けた、対策の注釈的読解作業の過程で見えていた、対策の思想的幅広さと規範性が古代日本の文学テキストや政治過程と具体的にどのように関わり合ったかが明らかになりつつある、と評価できよう。現在はこれらの発表者たちが、研究会での討議を踏まえてそれぞれに論文化しつつあり、平成24年度に注釈の部と合わせて出版することを目指している。 なお、同時並行で、連携研究者・研究協力者各自が担当した対策の注釈原稿をほぼ完成させた。全ての成果を一冊の本として出版する予定であり、雑誌論文等は書かれていない。
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