研究概要 |
2009年度に実施した主な研究活動は、下記の通り。 *『菅家文草』の諸本調査。 ・原本の閲覧による調査を行ったもの:寛文版本,元禄改訂版本,尊経閣所蔵諸本 (前田家甲本,同乙本,同丙本,同丁本),内閣文庫所蔵諸本(紅葉山文庫本,林道春本) ・複写資料による調査を行ったもの:川口久雄旧蔵本(勉誠出版刊の影印),蓬左文庫本,三手文庫本,多和文庫本 (蓬左文庫本以下の諸本は、国文学研究資料館の複写サービスを介して複写を入手した) 寛文・元禄両版本の本文については、巻1部分の異同を一覧できるようにした冊子を作成し、関係者に配布した。余白を充分にとり、今後の校合作業に利用できるよう工夫した。また、両版本の本文比較によって、元禄改訂版本の本文が、林道春本に近い、良質の本文であることを明らかにすることができた。 両版本の画像データは、すでに全12巻分を入手済みなので、巻1部分と同様の異同を一覧できるかたちの冊子を編集して行く予定。 *渤海使関係詩の読解。 7月,9月,11月,1月,3月の都合5回、研究会を開催し、毎回多くの参加者による討議を行い、新たな知見を得た。 『菅家文草』所収作品の場合、これまでは大系本本文のみに拠ってきたが、諸本の情報を得て、校異情報を充実することが可能になった。研究会での成果は、『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第3号で、「渤海使関係詩注釈稿」として発表。 *『懐風藻』の諸本調査。 ・原本の閲覧による調査を行ったもの:寛政版本,群書類従版本,天理図書館所蔵諸本(渋江本,榊原忠次本) ・複写資料による調査を行ったもの:蓬左文庫本,陽春盧本(蓬左文庫本以下の諸本は、国文学研究資料館の複写サービスを介して複写を入手した) 諸本調査を通じて得た情報に基づき、校本作成にとりかかりつつある。
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