研究概要 |
2010年度に実施した主な研究活動は、下記の通り。 *『菅家文草』の諸本調査。 ・原本の閲覧による調査を行ったもの:寛文版本,元禄改訂版本(以上2本は、いずれも早稲田大学図書館蔵本による),慶應義塾大学斯道文庫本 ・複写資料による調査を行ったもの:川口久雄旧蔵本(勉誠出版刊の影印),蓬左文庫本,三手文庫本,多和文庫本,尊経閣所蔵本(前田家甲本),内閣文庫所蔵諸本(紅葉山文庫本,林道春本) 昨年度から進めている両版本全文の異同対照作業を継続して行った。予定していた全文を対象とした冊子の完成にはまだ至っていないが、すべての異同のチェックは済んでおり、2011年度の早い時期での完成を目指す。 *渤海使関係詩の読解。 6月,7月,9月,11月,1月の都合5回、研究会を開催し、毎回多くの参加者による討議を行い、新たな知見を得た。 『菅家文草』所収作品の場合、これまでは大系本本文のみに拠ってきたが、諸本の情報を得て、校異情報を充実することができた。研究会での成果は、『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第4号で、「渤海使関係詩注釈稿」として発表。 *河村文庫(名古屋市立鶴舞中央図書館蔵)の諸本調査。 平安時代初期の文筆資料として、『続日本紀』以下の国史の本文の検討も重要であることから、国史の本文の典拠研究の先駆として重要で、かつ未だ全貌が広く紹介されていない、河村秀根・益根父子による『六国史集解』および関連資料の書誌調査を行った。
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