研究概要 |
本研究では、第二次世界大戦後、日本の占領下で、1945年9月から1949年11月までアメリカ軍によって行われた、GHQ/SCAP(General Headquarters/Supreme Commander for the Allied Powers)の検閲と文学との関連を、本文を緻密に検証することで解明することを目的としていた。本研究の最終年度にあたる今年度は、アメリカ合衆国メリーランド大学図書館ゴードン・W・プランゲ文庫で調査をし、GHQ/SCAPによる書き換えの指示のある校正刷・出版物の分析を中心に行ない、多くの収穫があった。なかでも、鈴木登美・コロンビア大学教授と企画した、英語圏・フランス語圏・日本語圏の研究者が集まる国際的なシンポジウム「Censorship, Media, and Literary Culture in japan: From Edo to Postwar」(2009年3月6-7日 Columbia University)をもとにまとめた、鈴木登美・十重田裕一・堀ひかり・宗像和重編『検閲・メディア・文学-江戸から戦後まで』(新曜社、2012年3月)が主たる研究成果となる。この書物は、日本語と英語によるバイリンガル出版となっており、国内はもとより、海外で広く参照されるように編集されている。他に、十重田裕一「横光利一の著作に見るGHQ/SCAPの検閲-『旅愁』『夜の靴』『微笑』をめぐって」(『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第57輯、2012年3月、21-31頁)などが、プランぶ文庫での調査の成果である。
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