William Shakespeareの印刷本戯曲、Ben Jonsonの戯曲印刷本と、宮廷仮面劇の印刷本と手稿を検討し、それぞれの媒体のもつ意味と、それぞれの作者の各媒体にたいする取り組みのあり方を考察した。 Othelloの四つ折り本テクスト、Romeo and Juliet第1四つ折り本をはじめとしてShakespeareの四つ折り本の中には、劇場起源の劇団による短縮版があるために、それらを著者原稿を起源とするとされる版本と比較すると、劇作家の創作と劇団による改訂のあり方をたどることができることが明らかになった。 一方、Ben Jonsonの戯曲印刷本に関しては、Every Man in His Humourのように劇場起源のものと著者による出版のための改訂がほどこされたものがある場合、Sejanusのように劇作家による出版のための改訂がほどこされたものだけしか残っていない場合、Catilineのように劇作家による出版のための改訂がどの程度ほどこされているか情報がない場合など、テクストの様態にさまざまなものがあり、Catilineのような場合でも、そのテクストは(演説を中心とするものとなっていることによって)読まれるものとして組織されていることが確認された。 また、Jonsonの仮面劇テクストでは、印刷本と献呈用手稿では、その異同の考察によって、国王と著者の権威をめぐる争いの痕跡が残されていることを確認することができた。
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