平成22年度においては、引き続きニューイングランド民統治に関する一次資料を検証し、当該植民地建設の目的、ヴィジョンを再確認した。その結果、通説のようにヴァージニア植民地と比較して、激しい宗教的情熱による理想の「神の国」の実現を目的とするピューリタニズムの姿か改めて浮かひ上がることになった。このピューリタンの宗教的情熱の与える政治的文化的遺産について、本年度においては、とりわけンディアンへのキリスト教宣教に着目していきたい。昨年度の夏季休暇にコネチカット州のイェール大学神学部における資料収集にて、インディアン宣教についての資料が両植民地の関係性を示唆していることにヒントを得た。北アメリカに植民したイギリス人にとって、先住民の存在はいかなるものであったのか、その関係の歴史を詳細にたどることは、ヴァージニア、ニューイングランドの植民地の性格を特定することに大いに寄与するのではないかという感触を得た。両植民地の交流に関する具体的な研究がほとんどないなかで、イギリス人の対インディアン政策をめぐる両植民地間の差異、及び共通項を収集した資料を手がかりに読み取っていきたい。またメリーランド州におけるピューリタンの活動が多文化的な視点から再解釈されそうであるとの資料にも接したので、この点においても、ピューリタニズムの実像を読み取っていきたい。
|