ヴァージニア植民地とニューイングランド植民地の比較研究を行うに際して、先ず第一に、ニューイングランド植民統治に関する一次資料を検証し、当該植民地建設の目的、ヴィジョンを再確認した。その結果、激しい宗教的情熱による理想の「神の国」の実現を目的とするピューリタニズムの姿が改めて浮かび上がることになった。これとは対照的とされる南部のヴァージニアに北部のPuritanismが影響を与えていくのは18世紀以降、次第に広まっていったことが米国における資料収集によって示唆された。信教の自由を基盤にした民主的な自由の精神がPuritanismを媒介にしながら、時間をかけて南部ヴァージニアのEpiscopalismにも影響を与えていったことが垣間見られた。したがって研究の成果としては、18世紀以降のすでに発展段階にある両植民地の比較研究をおこないアメリカ独立戦争にいたる双方向の影響を考察することで、この研究のテーマは完遂されるとの認識をえることができた。
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