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2009 年度 実績報告書

明治期ジャパノロジーにおけるオリエンタリズムの明暗

研究課題

研究課題/領域番号 21520251
研究機関神戸大学

研究代表者

遠田 勝  神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (60148484)

キーワードハーン / 小泉八雲 / 石川鴻斎 / 漢文小説 / 夏目漱石 / オリエンタリズム / ジャパノロジー
研究概要

平成21年度は、本研究の目的にそって、さまざまな著書、論文などを収集、分析し、あわせて文献の複写、必要箇所のデジタル化など基礎作業をおこなうとともに、以下の2点の著書、論文を公刊した。1『傷ましい仲裁の物語-「破られた約束」「お貞の話」「和解」を読む』、平成21年7月、岩波書店『文学』7・8月号第10巻・第4号(p.22-31)。本稿は、ハーンの主要な三つの作品に共通する構造から、ハーンが日本やほかの非西洋諸国について論述するときに、見せる特異な『文明の対立の仲裁者』としてのスタンスが、彼のオリエンタリズムの根柢にあるばかりか、一見そうした文化論、文明論とは無縁な物語文学における基本構造にもみられることを指摘し、オリエンタリズムが彼の文学的資質と、個人的な家庭環境にも由来していることを指摘した。2平川祐弘編『講座小泉八雲IIハーンの文学世界』所収「転生する女たち-鴻斎・ハーン・漱石再論」(p.102-126)、2009(平成21)年11月、新曜社。本稿においては、死を超越する愛という主題が、ひとつの物語として、漢学者の石川鴻斎からハーンに、そしてハーンの会談から漱石の『夢十夜』へと伝承される様態と、原因、変化を分析し、じつは鴻斎の日本怪談の儒教化、漢文化と、ハーンの鴻斎の怪談の英語化、ロマン主義化が明治日本という東西文明の接触点での、きわめてよく似た性質の作業であったことを論証し、日本文化を照会するオリエンタリズムときわめてよく似た現象が、いわゆる『清末=明治の文学圏』にも生じていたことを指摘し、オリエンタリズムの新しい観点を提唱した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 傷ましい仲裁の物語-「破られた約束」「お貞の話」「和解」を読む2009

    • 著者名/発表者名
      遠田勝
    • 雑誌名

      岩波書店『文学』 10巻4号

      ページ: 23-31

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      遠田勝
    • 雑誌名

      講座小泉八雲 II ハーンの文学世界(新曜社)

      ページ: (102-126) 674

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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