カッセル国民文庫の第2期は選集シリーズと銘打って刊行された。また、編者のヘンリー・モーリー教授の伝記The Life of Henry Morleyの中に、第2期刊行直前の1890年12月20日に書かれた教授自身の手紙が収録されており、それによれば、第2期は第1期の作品を主としながら、新作品も追加して、104点からなる予定であった。しかし、最終的には第1期209点と追加作品5点の計214点が第2期作品として刊行された。この刊行方針変更の理由は詳らかでないが、104冊を越える時期(1892年末)前後に刊行された作品からは選集シリーズの名称が消えており、この時期に刊行方針が変更になったことを裏付けている。 これまで、第2期の刊行点数は213、第3期の刊行点数は214としてきた。その理由は、昨年度の報告書にも記したように、1892年刊のSelections from Wordsworthは中等学校の高学年用副読本としてクロス装でのみ刊行され、本シリーズに付された刊行書目には掲載されなかったためである。しかし、今回の調査により、同作品は1895年に第2期の最終作品(作品番号214)として再度刊行されたことを現物入手により確認できた。これにより、第2期の刊行総数も第3期と同じく214点であることが判明した。 また、第4期の刊行点数が111点で、刊行時期は1903年~1907年であると特定できた。具体的には、1903年に6点、1904年に53点、1905年に49点、1907年に3点刊行された。それ以降に刊行された重版には異装丁のあることも確認できた。 なお、第4期シリーズの中から、Cassell's Little Classicsとして25作品が1909年に刊行されたことも知ることができた。
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