研究課題/領域番号 |
21520260
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 好文 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70136779)
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研究分担者 |
林 康次 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60036449)
野崎 重敦 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90189390)
木下 英文 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (40225008)
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キーワード | イギリス:アメリカ / 英米文学 / アイデンティティ / マイノリティ / アメリカス / 「北」と「南」の衝突 |
研究概要 |
加藤は、アメリカ西部地域の歴史・文化と日系文学との関わりについて、文献・作品研究のみに止まらず、現地調査も交えて考察した。成果として、1)日系アメリカ人の収容所体験がそのエスニック・アイデンティティの核として起動すること、その一方で、2)アメリカ合衆国としての国家的理念は個々のエスニシティを希薄化させる方向性を持つことを明らかにした。 林は、アメリカ南西部文学のエスニシティ研究を文献資料のみならず南西部のニューメキシコ州とアリゾナ州でのフィールド・リサーチを通して続行した。その成果として、アメリカ主流文学との文化差が歴然としている南西部文学におけるスペイン語圏文化の特色を把握することができ、今後の研究「エスニシティをめぐるアメリカ文学とアメリカス文学」への糸口を見出した。 野崎は、インド出身のサルマン・ラシュディや日本出身のカズオ・イシグロなど、イギリスにおける非主流の民族的、文化的背景を持つ英語作家の作品を現地調査も交えて考察し、その語りの手法や現実の表現法などに独自性が見られることを明らかにし、その結果を論文「カズオ・イシグロの物語の手法について」に発表した。 木下は、第二次世界大戦退役軍人であるハワイ日系二世を対象とした回顧インタビュー・データに見られる談話の優先・非優先応答の特徴を分析することで、ハワイと米国本土出身の日系人兵士の間にかつて存在したとされる軋礫をめぐる話者のアイデンティティの捉え方の違いを考察した。
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