研究課題/領域番号 |
21520260
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 好文 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70136779)
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研究分担者 |
林 康次 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60036449)
木下 英文 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (40225008)
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キーワード | イギリス : アメリカ / 英米文学 / アイデンティティ / マイノリティ / アメリカス / 「北」と「南」の衝突 / 記憶の場 |
研究概要 |
加藤は、アメリカ西部文学の特徴について、地域文化との関係性の観点から分析した。特に、日系人の二世作家ジョン・オカダやヒサエ・ヤマモト、三世のジュリー・オオツカなどの作品研究を通じて、アメリカにおける戦争/収容所体験に関わる記憶/伝承の場と国家的記念碑の意味を明らかにすることができた。さらにドイツ人とアイルランド人の血を引く作家ジョン・スタインベック文学のカリフォルニア地域文化との接点を、新たにカリフォルニア・ミッションの視点から解明した。併せて本科研の統括として、共同研究者の今年度の論文を掲載した研究成果報告書をとりまとめた。 林は、アメリカ南西部でのフィールド・リサーチを踏まえ、エスニック・アイデンティティの多様化現象を文学における心と詞との相関性としてまとめた。なお、三年間の研究成果としては、論文「流謫のアメリカ文学から魔法のアメリカス文学へ-心と詞をめぐって」に発表した。 木下は、日系米国人作家Milton Murayamaの小説Plantation Boy(1998)において主人公Toshが用いた蔑称Bulaheadに焦点を当て、ハワイ日系二世のアイデンティティを語法の点から考察した。同蔑称の用例をコンテクストとの関わりで分析した結果、第二次世界大戦前後の時代背景を反映する形で、Bulaheadが「敵国人」や「移民労働者の子」などハワイ日系二世の多様なアイデンティティを表すことが明らかになった。
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