平成21年度については、ソローやエマソンらの超絶主義者、およびアメリカ教育史関係の貴重な資料を購入したほか、夏期休暇中に十日間ハーヴァード大学ワイドナー図書館で研修および資料収集を行なった。ハーヴァード大学では、特に19世紀に出版されたに関する歴史書を閲覧し複写した。また、ハーヴァード大学滞在中に、マサチューセッツ州コンコードのコンコード公立図書館を訪れ、ソローの草稿を閲覧し、複写した。 21年度の研究成果としては、現在執筆中の『コンコード・エレミヤー-ソローの時代のレトリック』の第2章「ソローの愛した子供たち」を大幅に改稿し、研修で得た資料を盛り込むことが出来たことである。特に、19世紀前半における体罰に関する議論について調査できたことはきわめて有意義であった。また、コンコード公立図書館で複写した"Walking"の草稿をもとに、「アメリカ先住民とソローの言語観」という研究発表を日本ソロー学会のシンポジウムにおいて行ない、研究論文にまとめた。 22年度の計画としては、ソローの友人であったブロンソン・オルコット(ルイザ・メイの父)の教育観についてさらに研究を深めることである。そうすることで、ソローやエマソンを中心とした超絶主義思想と教育改革の接点を考察できると考える。
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