平成23年度の研究計画は超絶主義思想における子供観を研究することであった。エマソンとソローの子供観の相違点について着目し、観念として思想化された超絶主義的子供観を考察するとともに、自己修養(self-culture)の思想と教育改革の思想がいかに関連づけられたかを考察した。 実質的には、近刊(最終校正済み)の単著の2章に「ソローの愛した子供たち」という論考を加え超絶主義思想と教育論の関連について考察したほか、最終章(9章)に「コンコードと日本-ウィリアム・ウィーラーの見た日本」を執筆し、マサチューセッツの教育改革の延長線上においてクラーク博士やウィーラーによる札幌農学校の構想が行なわれた経緯を論じた。また、本研究課題に関連する研究発表、「オールド・マンスとコンコード言説」を日本ホーソーン協会シンポジウム(於西日本総合展示場、平成23年5月20日)で、さらに「デラーノ船長のマサチューセッツ:"Benito Cereno"と奴隷解放論」を日本アメリカ文学会第48回全国大会(於関西大学、平成23年10月8日)で行なった。 研究成果としては、上記単著(平成24年5月刊行予定)のほか、「果てしなき宇宙-超絶主義思想と天文学」『英語英文学論叢』第62集(九州大学英語英文学研究会、2012年、pp.1-18)を執筆した。
|