「長い十八世紀」における女性作家と性的言説の関係、そして性的言説と絡んだ公共圏/親密圏/私的空間の生成変化の過程を、文学的・歴史的・文化的(コン)テクストから考察するために、以下の作業を、これまでの年度計画に継続しておこなった: (1)女性作家による性的言説のテクスト分析 (2)公共圏、親密圏、私的空間の関係性に関する、国内外の一次資料の収集 (3)女性作家と公私空間の関係性の検証 (4)新たな女性作家研究の視座の提示 その際に (5)理論的位置づけ(ジェンダー/フェミニズム理論をはじめに、「帝国」研究、公的/私的領域の制度化に関する研究、女性読者研究、「知」の体系化に関する研究など) といった理論的基盤を整理しつつ、問題を検証し、あるいは(分析による)研究成果、(収集による)一次資料とのすり合わせに活用した。 (6)研究の総括 として、(2)や(3)関係の一次資料をより広範かつ多様に収集し、より有益なデータベース化をはかる一方で、「長い十八世紀」のグローバルな状況下の英国における女性作家、性的言説、公共圏、親密圏、私的空間との関係をめぐる考察をおこなった。そこで、学際的研究の有効性を検証し、ジェンダー研究の観点から、新たな文化研究の可能性を探った。同時に、「長い十八世紀」の女性作家を軸に、演劇と小説という異なるジャンルの連続性と断絶を考慮に入れて、新たな視点からの文学ジャンルの見直しを提起した。
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