研究概要 |
本研究は申請者が構想する「アーサー王物語の受容から見るイギリス社会文化史研究」の一端を占める,この通史的テーマのもと、本研究は、アーサー王物語出版史において看過され、未だ校訂本として定本のないBrittains Glory : History of King Arthur(ケンブリッジ大学モードリン・コレッジ図書館にユニーク・コピーが現存)に詳細な注解をつけ、本作品のテクスト編纂と公刊を行うことである。 過去2年間に編集した、モードリン・コレッジ所蔵本Brittains Glory(1684年)とThe Most Admirable Historie of That Most Renowned Christian Worthy Arthur King of the Britaines(1660年)の編集・注解テクストの一部をWEB上に公開した。 加えて本年は、上記2の編集テクストをもとに、17世紀後半のステュアート王朝後期の政治的・社会的状況がアーサー王伝説をいかに利用し、或いはいかに排斥したかを両作品の分析を通して解明する予定であったが、両テクストの本文生成の分析過程において、依拠したと思われる典拠や材源の解明にてまどり、十分に研究を進めることが出来なかった。アーサー王物語のこの受容空白期に関する解明は、次年度の課題とする。
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