F・O・マシーセンが提唱した「アメリカ・ルネサンス」は19世紀アメリカ文学のカノンを形成した。しかしアメリカ・ルネサンスの思想的背景をなす超絶思想とボストンの進歩的女性たちとの関わりについては十分検討がなされていなかった。本研究は、 1840年代半ばのボストンに存在したマーガレット・フラーを中心とするメスメリズムを信奉する女性たちのネットワークに注目し、女性たちのメスメリズム体験と同時代の超絶主義との結びつき、 そこから生まれたフェミニズム思想をもう一つのアメリカ・ルネサンスの重要側面として捉え、マシーセンの白人男性作家を中心とするアメリカ・ルネサンス史の修正を試みた。
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