研究課題/領域番号 |
21520283
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
植月 恵一郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (10213373)
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研究分担者 |
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10407611)
山本 真司 天理大学, 国際文化学部, 講師 (80434976)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70184679)
木村 三郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (00130477)
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キーワード | オットー・ウェニウス / ジオット / リーパ / ヘンリー・ピーチャム / シェイクスピア / アンドルー・マーヴェル / ウィリアム・ブレイク / エンブレム |
研究概要 |
松田は、パドヴァのスクロヴェーニ聖堂内における7大徳と7大悪徳に関するジオットの寓意像に注目した。ルネサンス初期の寓意表象の例として重要な作品で、Inconstanzaが球の上で示す不安定な姿勢は、FortunaやOccasioの寓意像を想起させる。また、ジョヴァンニ・ベリーニ作、Sacred Allegory(ca.1500-05)で、JusticeとTruthを表象する女性は、枢要徳のFidesを象徴していると考えられる。その際、代表的な寓意像の集成、リーパの『イコノロギーア』における《信仰》や《真実》といった美徳の表象、《怒り》や《不実》といった悪徳も含めた神学的な像を中心に取り扱い、考察を加えた。さらに、ヘンリー・ピーチャムは、リーパを借用しており、ピーチャムとリーパの比較検討を行いつつある。山本は、『リア王』の悪魔払い的要素に見られるエンブレムについて考察した。グリーンブラットの成果をさらに進めるものである。さらに『ヘンリー四世』の祝祭空間におけるエンブレムについても考察し、シェイクスピアのエンブレムに関して大きな成果を得た。植月は、動物表象、とくにマーヴェルの「仔鹿の死を嘆く乙女」の中のエンブレマティックな《仔鹿》に注目した。ピエタ像の変型でもあり、チャールズ一世の表象とも見做される《仔鹿》は、文学作品の中で多様に機能する《エンブレム》であることを明らかにした。また、ロマン派の時代では、ブレイクの「虎」についても考察した。 伊藤は、オットー・ウェニウスの『愛のエンブレム集』に登場する世俗的なクピドと、同じくウェニウスの『神的愛のエンブレム集』に登場する天上的なクピドを比較検討して、17世紀初頭のオランダにおけるヒューマニズム文化とキリスト教との関係を考慮しつつ、表象上の俗と聖の対比と混在について研究した。木村は、17世紀フランスにおける《聖》なるエンブレム分析のための基礎研究として、カトリックの特徴となる煉獄に関する宗教図像を、美術史的な観点から詳細に分析した。
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